暮らすスローな暮らし

本を持って小さな旅に出る

にいがた鉄道じかん。

2022518

読書

 「活字離れ」と、世の中で言われて、もう随分と経つ。街の書店の数も減り、本の流通形態も様変わりした。また、情報収集の手段も、今やWEBが主流。(当メディアもですが)

 しかしながら、本ならではの楽しみというのは、この時代も不変だ。活字の中のイメージ全てが、自分で設定でき、紐解いていけるのだ。登場する人物の容姿、声色、心情。ストーリーが展開する場所、景色、空気感、などなど。自分の経験と照らし合わせたり、行間を読んでいくのが醍醐味だ。

 歴史や紀行文的なものであれば、時代や国境を越え、記憶や未知なる場所への、郷愁や憧憬を生むことができ、更なる想像の旅へと誘ってくれる。

 そう考えると、本を読む場所にもこだわりたい。本を持って、列車で小さな旅に出るのはどうだろう。列車の揺れや音は、本を読むのに意外と集中させてくれるし、新潟県の車窓は海、山、川と全て揃っていて、広大な田んぼも車窓に広がり、小さな旅の気分を盛り上げてくれる。

 また、今まで降りたことのない小さな駅のホーム、待合室や、そんな町で見つけた小さな喫茶店で読書するのも楽しいひと時だ。乗り換えや次の列車までの時間なんてあっという間に過ごせてしまう。

 あるいは、新潟が舞台の小説や、紀行文を持って、その土地を訪ねるのも、活字とリアルな情景が融合できて楽しいものだ。訪れる季節にもこだわれば、登場人物の機微などがより理解できることだろう。

 とにもかくにも、本には動画媒体と違って、すぐに答えが導かれない面白さと楽しさがある。のんびりと一日、読書に時間を使うことは、ある意味贅沢な「じかん」だと思う。

駅で読書

列車を待つ、海沿いの小さな駅

弥彦線車窓

弥彦線の車窓

磐越西線車窓

磐越西線の車窓(バードが実際、旅した阿賀野川)と、金坂清則氏の著書

トンネル

トンネル

「発酵じかん。」おススメの本

 

『蔵』 宮尾登美子著

 大正から昭和にかけての、新潟県中蒲原郡亀田町(現在は新潟市江南区)の大地主で酒蔵の家に生まれた「烈(レツ)」という、目が不自由な女性の数奇な運命と、それを取り巻く人々の、人間模様を綴った小説。当時の地主と地域の関係性や酒造りの様子なども描写されている。ちなみに登場人物の会話部分はオール新潟弁で、高知県生まれの著者がどのように執筆していったかとても興味を持った。

 

『雪国』 川端康成著

 「国境の長いトンネルを抜けると―」の書き出しがあまりにも有名な、新潟県の「湯沢温泉」を舞台にした「東京の文筆家・島村」と「地元の芸者・駒子」のやり取りと、心情を綴った(個人的には少々難解な)小説。著者が当作品を執筆したとされる温泉旅館の部屋も現存している。また、小説のヒロイン「駒子」のモデルとされた女性が住んでいたとされる部屋が移築され、川端康成関連の資料も展示された、湯沢町歴史民俗資料館「雪国館」も存在している。

 

 『イザベラ・バードと日本の旅』 金坂清則著

 地理学者で京都大学名誉教授。また、イザベラ・バード研究の世界的な第一人者の氏による、明治11年にイギリスの女性旅行家「イザベラ・バード」が行った、日本の旅とバード自身の著書である『日本奥地紀行』の解説書。

 氏の解説により、イザベラ・バードが日本を旅した動機付け、時代背景、日本に対する評価、正しい言葉の解釈等、より一層、分かりやすく興味深いものとなり、バードの著書を読む前に読む本と言える。

 イザベラ・バードの旅は新潟県も経由地で、津川(現在の阿賀町津川)から船に乗って阿賀野川を下り、新潟市に移動しており、各地にバードの足跡が残っている。現代でも、地元有志の方々によるイベントも開催されている。

 

『阿房(あほう)列車』 内田百閒(ひゃっけん)著

 昭和25年から30年にかけて発表された著者による「乗り鉄」(当時はそんな言葉はないと思われる)紀行文。単行本では、『第一阿房列車』から『第三阿房列車』まで発刊されている。とにかく列車に乗り移動することだけを目的とされた旅の様子が綴られており、「乗り鉄」ならではの独自ルールが設定されていたり、弟子とされる帯同者とのやり取りや、著者独自の当時の風俗評や人物評が楽しかったりする。

 『第二阿房列車』では、新潟への「乗り鉄」旅も掲載されている。

蔵

『蔵』 宮尾登美子著

雪国

『雪国』 川端康成著 

阿房列車

『第二阿房列車』 内田百閒著

切符

JRのお得なきっぷ