暮らす四季の暮らし

季節の花を愛でる

初夏の護摩堂山を歩く

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三万株の紫陽花が咲き誇る「護摩堂山あじさい園」を訪ねる。

 新潟県南蒲原郡田上町に位置する標高274mの護摩堂山山頂付近にある「護摩堂山あじさい園」は、初夏の頃、(6月中旬から7月上旬)約三万株の紫陽花に彩られる。涼しげな青色、妖艶な紫色、無垢な白色、可憐なピンク色などの紫陽花が咲き誇る。

 紫陽花というと、日本で、身近に観ることができる花だが、山道を40分かけて登り、山頂付近に突如現れる紫陽花の花畑感、しかも山の切り立った斜面にも紫陽花が咲いているので、平面的かつ立体的に紫陽花を愛でることができるのは、この場所ならでは愉しみ。

 また、「護摩堂山あじさい園」に隣接している茶屋では、冷たい飲料やかき氷、ところてんなどが味わえ、山道を歩いてきた疲れを癒してくれる。そんな茶屋で休憩しながら、時々いたずらげに飛んでくるシジュウカラなどの、野の小鳥たちを眺めているのも、楽しく癒されるひと時だ。

山の斜面一帯に咲き誇る紫陽花

茶屋のかき氷

修験場と城の歴史がある、護摩堂山。

 護摩堂山は、現代においては、登山道が整備され、40分程で頂上に達することのできる山ですが、お気づきの方もいらっしゃる通り、その名前が示すように、かつては山伏が修行し、護摩焚きを行っていた修験場であったと伝えられています。その名残なのか、現代においても春の山開きの際には護摩壇を山伏が炊き、安全祈願を行います。

 また、鎌倉時代末期からは、山城が築かれました。戦国時代においては上杉家家臣の山吉氏や甘糟氏が居城とするなど、要所とされ、数々の空堀や土塁、切掛跡や曲輪跡、馬場跡、蔵屋敷跡などが、登山の途中で確認することができます。

 いにしえのこの土地に思いを馳せながら、山頂や「あじさい園」を目指す。

 そんなスローな新潟の休日です。

登山道入り口

登山道

山道に残る数々の、堀跡

山頂の石碑

山頂からは越後平野、角田山、弥彦山を一望(日本海側方面)