新潟県のイメージというと、「米」や「田んぼ」といった、自然の風景を思い浮かべる方も多いと思われるが、「新潟市」にスポットを当てると、多くの船舶が往来し繁栄した「湊町」と言える。
古より、阿賀野川、信濃川の川湊として栄え、江戸時代中期から北前船の寄港地として、江戸時代の末期には、横浜、神戸、長崎、箱館(現函館)、と共に新潟が鎖国制度を執っていた日本の五大開港地とされ、いつの時代も「湊」が多くの人々の交流や商業を生み出してきた。
そんな「新潟市」には、北前船が隆盛を誇っていた時代の足跡や国際港らしい異国情緒あふれる建造物などが、今なお残っている。そんな場所を立ち寄りながら歩く、スローな休日です。
みなとぴあ・新潟市歴史博物館
2004年(平成16年3月)、信濃川河口のほとりに誕生した歴史博物館です。
ノスタルジックな雰囲気漂う「博物館本館」は、昭和8年まで古町にあった2代目新潟市庁舎の外観をイメージして建てられました。館内では、「郷土の水と人々のあゆみ」をテーマとした展示物と映像を交えた貴重な資料を観覧でき、新潟市の成り立ちを体感することができます。同敷地内には、明治・昭和初期の歴史的建造物などが現存及び移築、再現され情緒豊かな湊町、水の都にいがたの歴史と文化が満喫できる施設になっています。
※歴史博物館・本館は入場料が必要です。
みなとぴあ「歴史的建造物」
旧第四銀行住吉町支店(国登録有形文化財)
大正15年5月起工、昭和2年10月に竣工。建物は昭和初期の銀行建築に多く見られる古典的な様式で、みなとぴあに移築。内部見学と、2階の会議室・日本間の貸出も可能です。
旧新潟税関庁舎(国指定重要文化財)
明治2年建築。幕末から海外に開かれた国内の五港(函館・新潟・横浜・神戸・長崎)で、唯一現存する開港当時の税関の建物。
また、税関の保税倉庫(輸出入貨物を一時保管する倉庫)「石庫」も復元されています。
湊稲荷神社
「みなとぴあ」から350m 徒歩6分
1716年(享保元年)創建。
新潟沖を進む船舶は、この神社の鎮守の森を航路の目印にしたと言われ、北前船の船乗り達や海運業者の信仰を集めたと言われています。さらに、往来した船乗りや商人によって隆盛を誇った、古町花街の遊女や芸妓がこの神社の高麗犬(こまいぬ)を回して位置を変え、天候が悪くなり「湊に人をとどめておくよう」願掛けすることから、「願懸け高麗犬」と呼ばれるようになったと言う、逸話も残っています。
回すことができる高麗犬(狛犬)は全国でも珍しいものになっています。
旧小澤家住宅
「湊稲荷神社」から700m 徒歩11分
小澤家は、江戸時代には米穀商を、明治に入って北前船の廻船業を営み、回米問屋、地主経営、石油商と様々な事業を展開し、新潟を代表する商家の一つとなりました。その店舗兼住宅を見学するこができます。(有料)
主屋、新座敷、離れ座敷、道具蔵などの建物は、増築などを経て今に残されています。明治末期に造られた、日本三景の松島を見立てたと言われる日本庭園も見どころの一つです。
港茶屋
旧小澤家住宅から100m 徒歩2分
国の登録有形文化財の旧片桐家住宅をリノベイトした食事処「魚や 片桐寅吉」に併設されたカフェが「港茶屋」です。
「港茶屋」では、歴史情緒溢れる空間で、「雪室珈琲」「雪室和紅茶」など、新潟の風土が生んだ飲料やスィーツが味わえます。
片桐家は明治18年に片桐鮮魚問屋を立ち上げののち、明治37年には漁師らと共同出資で新潟鮮魚問屋株式会社を設立。また、卸売業と共に、北洋漁業でも活躍しました。
金刀比羅神社(西厩島)
港茶屋から600m 徒歩9分
金毘羅通り商店街の入口に鎮座する神社。江戸から明治にかけて北前船の船主らが航海の安全を祈願して当神社に奉納した28点の北前船の模型は、「奉納和船模型」として国の重要有形民俗文化財に指定されています。見学は事前連絡が必要です。
また、この金毘羅通りは、明治から大正にかけて繁華街として賑わい、映画館や芝居小屋などを有していたとのことです。