スギ並木の間から、こぼれてくる春の陽ざしが心地よい。このスギ並木は新潟県の古刹、曹洞宗・慈光寺の参道だ。滝谷川の渓流沿いに、慈光寺山門までの約500mの間、推定樹齢300年~500年の巨大なスギを含む136本が立ち並ぶ姿は壮観だ。
そして、古の修行場らしく、その山門までの道すがら、苔むす数々の石仏がひっそりと佇む。そんなスギ並木を500年前は、いったい何時代だ?と、考えながら歩んでいると、否が応でも哲学的な思考が心をよぎってくる。
そもそも、樹木という生命体の前では、人間の生涯など儚いものだ。樹木に言語表現能力があるのなら、その悠久の時の中に刻まれた、彼らの目前で起きた人間の営みの話に耳を傾けてみたい。
たまにはこんな野の歩き方もいいものだ。そんな春のスローな休日です。
曹洞宗・慈光寺
新潟県五泉市蛭野870に位置する、1403年(応永10年)頃、楠木正成の直孫「傑堂能勝禅師」により中興開山されたと言われています。(開山年は不明)
古の山岳信仰の対象であった霊峰白山(1012m)の麓、江戸時代中期には、幕府より庇護を受け「越後往古四ケ道場」の一つとして、多くの雲水達の修行場となりました。
現在の境内建物は本堂が1763年(宝暦13年)、庫裏が1759(宝暦9年)、坐禅堂、衆寮、山門、回廊、経蔵は江戸時代後期に建立され、別所地区にある虚空蔵堂も含めて国登録有形文化財に指定されています。
黄金の里会館(慈光寺スギ並木入口前)
春のスギ並木を歩き、慈光寺を参拝した後は、「黄金の里会館」に立ち寄りたい。1Fは売店と喫茶コーナー、2Fは無料休憩所を兼ねた食事処となっている。
地元、別所地区産のそば粉を使った手打ち蕎麦や、新潟県内ではあまり提供されていない「むぎきり」(山形県庄内地方に伝わる細切り手打ちうどん)が味わえる。中でもおススメなのが、「慈光寺むぎきり」だ。野菜天ぷらと小鉢がついたセットメニューで、小鉢の山菜料理がこの時期嬉しい。
※山菜天ぷらのセットもあり。
季節限定で、ふきのとう、こしあぶら、ワサビなどの山菜料理や曜日限定で鮎やイワナの塩焼き、鯉の甘露煮も味わうことができる。
ちなみに名称の「黄金の里」の由来は、ここ五泉市蛭野地区は県内有数の「ギンナン」の産地で樹齢200年~600年のイチョウの木が立ち並んでいる。晩秋にはそのイチョウの木が蛭野地区を「黄金色」に染める。秋にも訪れたい。
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