川まで徒歩一分。
小学校一年生の途中まで、そんな環境の所に住んでいた。学校の帰り道、橋の上から川を見下ろし、魚を観るのが好きだった。また、今思えば、中々リスクのある行動だったと思ってしまうのだが、よく一人で川に遊びに行っていた。川の浅瀬を歩くと小魚たちが、一斉に小石の下に逃げ隠れる。小鮒やシマドジョウなど、今でも思い出す光景だ。
時々、川の遊びに大人が参加する。そうすると、捕獲できる魚の種類と大きさが変わってくる。先ほども記述した通り、子供が網や手づかみで捕まえることができるのは、浅瀬の小鮒レベルなのだが、そこにオイカワやウグイが加わってくる。初めて見た、婚姻色のオイカワのオスはとても綺麗に感じたのを憶えている。
そんな子供の頃、自分的、川魚の最上位に位置していたのがアユである。その川では、投網で捕まえている人が当時多かったのだが、とにかく羨ましかった。まず、自力では100%捕獲が無理な上、自分の、身近にいた大人たちも投網は持っていなかったので、兎に角、生きたアユにお目にかかるには、その投網をしている人の後ろで、眺めているしかないのである。子供ながらに、その明らかにコイ科の魚が持っていない美しさや、かっこ良さを感じていたのだと思う。
大人になりアユは好物となった。何にしても美味しい川の魚だ。塩焼き、甘露煮、天ぷら、唐揚げ、アユ飯、味噌汁など。と、同時に川の魚を美味しくいただける環境にあるのは幸せなことと、感じている。川の魚というと一様に独特の匂いがあると、想像する方が多いと思われるが、いわゆる「水が良い」環境に生息している魚は、それは皆無だ。
新潟県は海と山が近い地域が多い、村上市や胎内市、上越市、糸魚川市などがそうだが、山の水源から、日本海の河口まで高低差があり、短い距離を清らかな水が澱むことなく流れていく。それらの河川では天然遡上するアユの数も多く、古来の川の営みが保たれているということである。
最後に話は変わるが、もう何年も今年こそは、アユ釣りを始めようと思いつつ、時が過ぎている。投網にも興味が大いにある。しかしながら、夏を名残り惜しむかのように、今年もこのまま季節が過ぎていく今日この頃です。