新潟と「くじら汁」
冬は寒く、夏の暑さは厳しい。
そんな新潟の特徴的な気候風土の中で、夏に食する郷土料理として存在しているのが「くじら汁」です。
「くじら」は、その昔、西日本で獲れたものが塩漬けにされて、北前船で新潟に運ばれていました。
「くじら汁」は、そんな「くじら」の脂肪による、こってりとした味わいが特徴的な、新潟の夏のスタミナ食の一つで、野菜は茄子を入れるのが必須です。その他、「ゆうがお」「冬瓜」や「ミョウガ」も相性の良い食材です。また、じゃがいもや玉ねぎを使用するご家庭もあります。
主流は味噌仕立てですが、醤油仕立てでも美味しく仕上がります。
新潟の茄子
新潟県は茄子の生産が盛んで、作付け面積が日本一です。
漬物が美味しい「十全茄子」、実が柔らかく焼物に最適な「焼茄子」、煮ても焼いても蒸かしても、あらゆる料理に適している「丸茄子」など、新潟県内にはそれぞれの地域特有の在来種が約20種類も存在しています。
今回、ご紹介した「くじら汁」を始め、新潟の夏は、数多くの茄子料理が食卓に並びます。
材料(4~5人分)
- 塩くじら 70g
- 丸茄子 1個
- 冬瓜 200g
- 長ネギ 1/2本
- みょうが 3個
- 煮干し 4本
- 味噌 40g
- 酒 大さじ2
- 水 800㎖
作り方
- 鍋に水と「頭・はらわた」を取り除いた煮干しを入れ約30分置く。
- 塩くじらを水洗いし、一度茹でこぼす。
- 丸茄子、冬瓜を食べやすい大きさに切る。
- 長ネギ、みょうがを薄切りにする。
- 1を火にかけ煮立ったらアクを取り、弱火で6~7分煮た後、煮干しを取り除く。
- 5に3と酒を加えて煮る。
- さらに2と4を加えて煮る。
- 食材に火が通ったら、味噌をといて完成。
新潟では夏になるとスーパーマーケットの店頭にも「くじらの塩漬け」の切り身が沢山並びます。保存ができる「くじらの塩漬け」は古来より、海岸部の人々だけではなく、新潟県の山間地でも、貴重なたんぱく源として、食されていました。このように「くじら」は、身近な食材として新潟の食文化に根付いています。