移ろう季節にしみじみ感じる
お盆も過ぎ、残暑は厳しい折だが、気が付けば段々と昼の時間は短くなり、夜の時間が長くなる。酷暑の中、飲みほすビールは爽快そのものだったが、これから、夜の気温も落ちてくる夏の名残りの頃には、窓を開け、柔らかな風を感じ、虫の音を聞きながら、ゆっくりと日本酒を嗜むのも、中々粋な振る舞いだ。とはいえ、熱燗にはまだまだ季節は早いので、キリっと冷酒を流したい。
もうしばらくすると、野外で一杯やるのもいい季節を迎える。夜、焚火をみながら月明かりの下、夏の名残りと秋の走りの食材をあてに飲む時間は格別なひとときだ。何かと急ぎ慌ただしかった「真夏のくらし」の喪失感や疲弊感を移り行く「秋のくらし」でスローに取り戻したいと思う。
新潟県関川村・老舗酒店「丸重商店」四代目・五十嵐紀人さん
「餅は餅屋」の言葉があるように
「酒は酒屋」なのだ
とかく、説明はAI、買い物はECが蔓延るこの世の中。情報を発信する側も受信する側もアルゴリズムという無機質な計算式に価値判断を委ねる日々。
画面を数回タップすれば、明日には玄関に望んだ物が届く。それは無論、効率的で、失敗もない。だが、どこか味気なさを感じてしまうのはなぜだろうか。時には、人の言葉の強さや熱量を感じながら、あーでもないこーでも無いと、幸せな葛藤を感じながら自分の新しいお気に入りを見つけたい。
日本酒選びもリアルに酒屋に足を運び、接客されながら知識も深めたいし、その酒から広がる、その土地の食文化なんかもしれたら楽しい。
ここに一軒の酒屋をご紹介する。
新潟県岩船郡関川村に暖簾を掲げて約90年の老舗酒店「丸重商店」。
四代目の五十嵐紀人さんは、首都圏や大阪でホテルの業務に従事ののち、家業を継ぐ前に日本酒への知見をさらに深めるため、自ら新潟の酒蔵の門を叩き、蔵人として実際の酒造りの現場でその汗を流したという経歴を持つ。いわば蔵人の目線をもった四代目なのだ。
店舗には所狭しと厳選された日本酒が並べられ、見ているだけで楽しい。手書きのPOP、レッテルや瓶、箱の質感など、改めて思うが、リアル店舗は情報が平面では無く立体的だ。
地元ならではの食材や調味料も品揃え。この調味料はこの食材や料理に使って下さいとアドバイスされる。
そして何よりも、日本酒の事を詳しくない者にも、包容力を持って教えてくれるのが嬉しい。そんな、四代目に今回は、この時期おススメの日本酒4選と関川村の辛味調味料「とんから」を紹介してもらった。
丸重商店店内・地元ならではの食材も品揃え・関川村の辛味調味料「とんから」
「夏の名残りに冷酒を嗜む」ための
丸重商店四代目おススメ!4選
①紫雲大洋盛
- 蔵元 村上市 大洋酒造株式会社
地元のお客様に高品質ながら、お求めやすい価格で提供したいという、蔵元の熱い思いから実現したブランドです。村上市や関川村の地域限定で醸造・販売されています。普通酒でありながら、吟醸酒と同等(精米歩合55%)にまで米を磨き上げ、すっきりとしたキレと深い味わいを両立させた、日々の晩酌に最高の贅沢を添えてくれる一本です。
②〆張鶴 吟醸生貯蔵酒
- 蔵元 村上市 宮尾酒造
毎年4月末から7月頃までの短い期間だけ季節限定で蔵出しされる希少な酒です。フレッシュな香りで、口当たりも「爽やかで、軽やか」という言葉がこれ以上ないほどぴったりと当てはまります。その秘密は、通常の日本酒が二回行う「火入れ(加熱殺菌)」を、瓶詰め前の「一回だけ」に留めている所です。生のまま貯蔵されていた瑞々しさがそのまま瓶に閉じ込められているため、生酒に次ぐフレッシュな躍動感が保たれています。冷蔵庫でキリッと冷やすことで、この季節の喉を心地よく潤してくれます。夏の名残りにふさわしい至高の一本です。
③髙千代 純米大吟醸 一本〆
- 蔵元 南魚沼市 髙千代酒造
- 蔵元 上越市 頚城酒造株式会社
まず、何といってもフルーティーな香りが特徴です。米の旨味も感じながらも酸味も感じられ、冷やすことによってそれらがキリっと引き立ちます。食中酒としてもおススメの一本です。
※最後に、四代目に教えていただいた辛味調味料「とんから」。関川村産の青唐辛子を米麹、有機丸大豆醤油と合せて発酵させた辛味と旨味が溢れる関川村特産品です。その「とんから」を使用して気軽に作ることのできるおつまみをご紹介します。「夏の名残りに冷酒を嗜む」時にお試し下さい。
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