新潟市西蒲区、角田山の麓にある「上堰潟(うわせきがた)」は、公園として整備され、晴れた日の休日は、沢山の人で賑わっている。シートを広げ、ピクニックをする、ご家族。散歩、ランニングをする方。草花や水鳥の撮影をする方。それぞれが余暇を楽しんでいるようだ。
ところで、新潟市には、「潟」に分類される湖沼が16ヶ所存在しているそうだ。ご承知の方も多いと思われるが、この辺りの越後平野と呼ばれるエリアは、信濃川と阿賀野川という二大河川の下流域になり、その昔は幾度となく氾濫を繰り返し、水はけも悪く、一大湿地帯となっていたそうだ。
そうなってしまう一つの要因として「砂丘」の存在がある。「砂丘」というと真っ先に鳥取砂丘を思い浮かべる方が多いと思うが、新潟も一大砂丘の地なのである。なんでも、この角田山の北端から、村上市までの海岸線70㎞に及ぶという。
思いっきり簡単に言ってしまうと氾濫した河川の水は、この「砂丘」という堰によって海に流出するのを阻まれてしまうわけで、その逃げ場の無い水が溜まり続ける場所が「潟」になって行った、とのことである。
と、ここまで、その道の専門の方からみると、思いっきり端折って、知った風に語っていますが、僕はこの「潟」こそ、新潟の原風景の一つと考えています。こんなことを言うと随分大袈裟なのだが、新潟県人のDNAがそうさせるのか、この「潟」の風景を見る度になんとも言えない郷愁感に包まれるのである。
「発酵じかん。」では、今後も「潟」と、その土地の風土、文化について、ご紹介させていただこうと考えています。新潟県の先人は、水との闘いでした。現代に生きる私たちがその水から恩恵を受けているのも、先人たちの数々の苦難の上に成り立っている、ということを思いながら。