暮らす四季の暮らし

野に出て山の菜を摘む

山菜を心ゆくまで愉しむ

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山菜採り

はじめに

 当WEBマガジンは新潟を発信するサイトですが、今回は、新潟県中魚沼郡津南町に隣接する長野県下水内郡栄村の新潟県境付近で行われた料理家・蓮池陽子さんの山菜ツアーを取材し、記事を作成いたしました。

 

――先に、蓮池さんのインタビューをご覧になりたい方はこちらをクリック

 

 また、今回は山の管理者のガイドの下、山菜採りを行っています。山菜採りは、各地域で入山禁止箇所やルールが設定されていますので、注意が必要です。

 

野に出て山の菜を摘む

 今回、タイトルをつけるにあたりモチーフにした歌があります。

―君がため 春の野に出でて 若菜摘む 我が衣手に 雪は降りつつ―

 百人一首にも詠まれた光孝天皇の歌ですが、古の日本では、新春の野に出始めた、食用の草を摘み取る「若菜摘み」という風習があり、それを食し、一年の無病息災を願っていたそうです。

 野にあるものを特別な想いを持って食すること。それは、現代の山菜採りにも通じているのではないでしょうか。

 

新潟県は旬な山菜を長く楽しめる

 その理由は新潟県の地理的環境にあります。雪が降り積もり、日本でも5番目に広い面積を有する新潟県。山菜が採れる里山も二つの種類に分けられます。①平野部に近い里山。②豪雪地域の里山です。例えば「①の三条市」では3月中旬には雪が消えますが、「②の津南町」では(今回の栄村も同じ条件の②)4月末から5月の半ば位まで雪が残っている所があります。それはそのまま山菜が収穫できる時期の差となり①の地域の山菜が終わったら、今度は、②の地域の山菜を楽しめるということになります。

蓮池さん

料理家・蓮池陽子さん

ウド

林道脇のウドを採取

ウド

短時間でカゴがいっぱい

モミジガサ

モミジガサ

シイタケ

うれしいおまけの原木シイタケ

ワサビ(左上)、ワサビが自生する沢(右上)、ミズ(左下)、ワラビ採り(右下)

山菜を心ゆくまで愉しむ

 日本でも有数の豪雪地帯である長野県下水内郡栄村では、実に多くの山菜が旬を迎えていました。ウド、コゴミ、ウルイ、ミズ、モミジガサ、葉ワサビ、ネマガリタケ、アケビのツルなど。

 今回は、東京を拠点にご活躍されている、料理家・蓮池陽子さんと、ご友人の皆様による山菜ツアーにお邪魔しました。ご友人も、書籍のデザイン、食や旅のライティング、雑誌社に勤務等、それぞれでご活躍の方々。

 結論から先に述べると、「山菜を採る→山菜を食する」という一連の行為は、当WEBマガジンのテーマである「五感を育むライフスタイル」にぴったりな休日の過ごし方でした。

 長い冬を終え、躍動感に満ちた植物の姿、色彩。林道の砂利、草や土を踏む感触。鳥や蛙の鳴き声。採りたてのウドの香りと摘み取った木の葉の匂い。ワサビの沢の水音、そしてそこから派生する心地よい空気の流れ。

 五感うちの四つの感覚を自然の中で育むことができたと感じました。

 

 そして、最後に味覚。

 

 山菜に精通した料理家・蓮池陽子さんによる心づくしのお料理の数々。

 栄村に昔から変わらず「あるもの」を「なかったもの」に変化させ、いただくお料理の数々。

 その場の雰囲気も併せて、至福の時間であったと感じています。

 

 山菜を心ゆくまで愉しみ、五感を育む。そんなスローな休日でした。

蓮池さん料理

料理家・蓮池陽子さんによる、お料理の数々

蓮池さん料理

採れたてのウドを使ったサルサヴェルデ

蓮池さん料理

スパイスの効いたコゴミの炒め

蓮池さん料理

春巻の中身は、ウド・シイタケ、三つ葉&桜エビの2種類

蓮池さん料理

栄村産アスパラの肉巻

蓮池さん料理

ご飯に山椒の葉とワサビを添えて

蓮池さん料理

「主客一体」となり、よい時間になりました。