紐解く

新潟の高校野球

新潟市中央区鳥屋野にて。

202388

 また今年もひりひりとした夏が終わった。といっても、「夏」という季節の話ではなく高校野球の話である。

 2023年の第105回全国高等学校野球選手権新潟大会は68チームが参加し、7月25日の決勝戦を以って閉幕した。

 参加校の数に目を向けると、新潟県では1997年の第79回大会の108チームをピークに減少の一途をたどっている。また近年においては、1校単位では試合のできる人数が足りず、3~4校まとめた「連合チーム」がエントリーされることも多い。計算すると今年はピーク時から40チーム少ない中で大会が開催されたことになり、ここにも社会問題である「人口減少」というものが如実に現れているし、子供たちが野球以外のスポーツにエントリーしているとも言える。

 さておき、この猛暑の中、プレーをしている選手たちには申し訳ないのだが、筆者は高校野球観戦をこの上のない楽しみとしている。観客席に腰を下ろし、目前で繰り広げられている戦況を勝手に分析し、自分の頭の中で、今後の展開を推測しながら観戦するのが楽しいひと時だ。

 だが、自分の贔屓にしているチームの試合となると、状況は一変する。もうひたすら目前の状況に一喜一憂しかできなくなる。そして段々、試合の展開によっては「願い」が「祈り」に変ってくる。圧倒的に強いチームだと良いのだが、ここ数年そうでもないので、中々「ひりひり」した想いで試合を観ることになる。残念ながら、筆者の贔屓にしているチームは、今年は準々決勝で敗退。夏は終わってしまった。

 そんな今年の新潟県の夏を制したのは、「東京学館新潟高等学校」だった。創部41年にしての甲子園初出場だ。準々決勝では「日本文理」、決勝では「中越」をサヨナラ勝ちで破った、タフで勝負強いチームだ。

 そもそも、この10年間、いや20年間を辿っても(2020年新潟県独自大会も含む)、夏の新潟を制したチームは4チームしかいない。日本文理が10回、中越が4回、新潟明訓が4回、新潟県央工業が1回、そして今年の「東京学館新潟」である。

 実は、甲子園での新潟県代表の勝利数は、春夏通算で全国最下位なのだが、そんなことはどうでもよい。また、悲願の初出場ということで、東京学館新潟の選手達には、各所から期待以上のものを背負わされる状況だが、そんなことも気にせずに、新潟県で唯一「夏」が続いているチームとして有意義な時間を過ごしていただきたいと思う。